トークイベント

Think Together! My Life, My Story supported by リリー・オンコロジー・オン・キャンバス

Think Together! My Life, My Story

supported by リリー・オンコロジー・オン・キャンバス
2012年10月10日(水) 神戸朝日ホール

2012年10月10日(水)、「がん」について学び、「生きる」ということを考えるトークミーティング「Think Together! My Life, My Story supported by リリー・オンコロジー・オン・キャンバス」が開催されました。出演者は2010年にろ胞性悪性リンパ腫と診断され、抗がん剤投与による闘病生活を経て、同年奇跡的な寛解をむかえたSOPHIAの都 啓一さん、そしてその闘病生活をそばで支えた、SOPHIAボーカルの松岡 充さん、埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科教授 大西 秀樹先生、そしてリリー・オンコロジー・オン・キャンバスの審査員である兵庫県立美術館 館長 蓑 豊氏の4人。司会進行はFM802のDJ内田 絢子さんによって行われました。

 

第1部は、「がん」という病気の現状と、もし自身が「がん」と告知されたら、大切なひとが「がん」と告知されたら、その事実をどう捉え、何をすべきなのかをテーマにトークミーティングが進行しました。

日本のがんの現状

まず最初に、大西先生が現在の日本のがんの現状などを解説されました。日本では、1940年代頃は結核が死因の一位でしたが、医療の進歩で結核が減少し、高齢化社会の到来とともに「がん」が増えてきたそうです。また、生涯でがんに罹患する確率は男性では2人に1人、女性でも2人に1人となってきており、比較的身近な病気といえるという内容でした。

がんを告知された時と闘病時の思い

SOPHIAの都さんは、2010年にろ胞性悪性リンパ腫と診断され、およそ半年間におよぶ抗がん剤治療による闘病生活を送られました。初めて「がん」を告知された時と闘病時に大切だと感じたことについて、都さんがその時の思いを語りました。

(都) 最初に医師から告知されたときは、若干他人事のように感じていましたが、先のことを考え始めるとちょっと震えがきました。死というものが具体化されたというか、目の前に提示させられたというか…。
ちょっと変な話ですが、いい意味で僕は死を覚悟しました。それは怖いとか恐ろしいとかということではなくて、「ああ、人生って終わりがあるんだな」と。そして、それを僕は感じることができたから、「あ、これは生きないと損だな」と思ったんです。それは、僕はSOPHIAとして音楽ができて、こうしてファンの皆さんがいたからこそ、すごく感じられたことなんです。一日でも生きないと、それも一生懸命、というのが僕には活力になりましたね。病気になったからこそ分かったことで、なおかつそれが力になっていると思います。

このように、がんと告知された方は、最初は落ち込む方もいらっしゃいますが、都さんのようにその事実を受け止め、何かに活力を与えられ、よりよく人生を生きようと心情の変化が見られます。大西先生のお話しによると、患者さんの闘病期間中の心理面における成長を、医学用語で「外傷後成長(ポスト・トラウマティック・グロース)」と言うそうで、都さんはまさにその実践者だそうです。

大切なひとががんと告知されたときの思い

がんの告知を受けた都さんを闘病生活の間もそばで支えていた松岡さんからは、大切なひとががんと告知されたときの思いと、一緒に闘っていく中で一番大切だと感じたことについて語っていただきました。

(松岡) スタジオでのリハーサル中、都から別室に呼ばれて「がんになった」と告げられ、何も聞き返すことができませんでした。がんの種類や家庭環境にもよりますが、その当事者の価値観だけで闘えるものではありません。家族をはじめ、周りの人も理解して、そして何よりも仲間ができるだけ手を差し伸べるようにしなければと考えました。
しかし、都ががんと闘い始めた時に、僕の身内にもがんになった者がいたので少しはがんについて勉強したつもりでしたが、そばにいる者としてできることは正直なところ何もなかったんです。結局、一番大切なのはやはり患者自身の生きたいという気持ちだと感じました。誰のためでもいいんです。自分のためでもいいし、家族のためでもいい、目の前にいるファンのためでもいい、本人の生きようという強くて能動的な力が生まれてこなければ、周りの人間は何をしても無力なんです。患者自身がとにかく生きようと思うことが最も大事な気がしますね。

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がん患者さんと周囲の方のための絵画・写真コンテストについて

がん患者さんとその周囲の方が絵画や写真で自分の気持ちを表現する「リリー・オンコロジー・オン・キャンバス」は、今年が第3回目の実施となります。本コンテストも回を重ねるごとに、関心を持っていただける方が増え、第2回では150通を超えるご応募をいただきました。トークミーティングにご参加いたただいた4名の方にも、「リリー・オンコロジー・オン・キャンバス」に対するコメントをいただきました。がん患者の心のケアの専門家である大西先生は、コンテストを通して患者さんの「生きる」という場所ができたことが一番大切であり、我々はご応募いただいた皆さんの絵画や写真によって逆に生きる勇気をもらえることが素晴しく、意義のあることと評価されでいます。また、本コンテストの審査員である蓑氏も、「リリー・オンコロジー・オン・キャンバス」はたくさんの患者さんに勇気を与えてきたことに触れ、がんの患者さんがベッドで治療を受けている時に、自分の病気のことではなく、何かを創作することはすごく大事なので、これからも永く続けて欲しいとコメントされました。さらに、SOPHIAのお二人の本コンテストに対するコメントも非常に意義深いものでした。

(都) 僕も「復活」を目標に治療をしていました。「復活」できたときには、日本武道館でライブをやったんですが、何とも言えないというか、もう本当に愛おしいし、「もうこれで死んでもいいや」というくらいの達成感でした。今回、「リリー・オンコロジー・オン・キャンバス」にご応募された皆さんの写真や絵画を見せていただきましたが、そこに生きる皆さんの限りないエネルギーを感じました。表現された内容には、みなさんの思いが凝縮されているんですね。それは、すごく大事なことで、とても人間らしいというか、そういうことを強く感じました。

(松岡) まず、がんの患者さんやその支援者に対して「表現する場」を創るという試みはすごく素晴らしいことだと思います。「表現すること」は、生きるということだと僕は思います。生きていく上で、時間というのは放っておいても流れていくわけじゃないですか。その中で「自分は生きているんだ」という実感を得るためには、能動的に何かを自分から発信しなければいけない、生み出さなければいけない。それがきっと生きるエネルギーになるのだと思うんですね。
僕は生を受けたことは、「神様から時間を借りている」ものと捉えています。神様から借りた人生をどれだけ色鮮やかにしていくか、6色の色鉛筆を12色に24色に36色にと、どうやって自分の力で変えていくかということが重要だと思います。すべての人に与えられたキャンバスは絶対に使うべきで、表現し続けることが大切だと思います。

SOPHIAのお二人からのメッセージ

最後にトークミーティングに参加なさったSOPHIAのお二人から、会場に駆けつけていただいたファンの皆さん、がん患者さんとそれを支える周囲の方に対してメッセージをいただきました。

(都) 今日こうやって皆さんに来ていただいて本当に有り難く、この場に呼んでいただいたことをとても嬉しく思っています。そこで、僕は皆さんに1つだけお願いしたいことがあります。それは「必ず検診に行って欲しい」ということです。もし病気が見つかったら怖いという気持ちは確かにありますが、早く見つかれば治る可能性は高まります。だから、必ず検診に行って欲しいと思います。

(松岡) 僕もいつか、がんに限らず、命にかかわる病気に見舞われることがあるかもしれませんが、今この瞬間は自分に与えられた人生として楽しむことができるんです。だから、一日一日をとにかく余すことなく、生きているんだと、明日に向かって歩いているんだということを確認できるような日々をこれからも過ごしていきたいと思います。万一、そういう境遇に自分が遭遇したとしても、取り乱さず、自分一人で抱え込まずにいろいろな助けをいただきながら進んでいこうと思います。そのためには、皆で知識を身に付ける必要があって、有識者の方やお医者さんの意見を聞きながら、自分の中にうまく取り入れていくといいんじゃないかなと思います。例えば、こういうイベントに参加しながら勉強するのは素晴らしいですよね。1回でも多く参加していきたいですし、僕たちも音楽を通じて、皆さんの生きる力になれるようにこれからも活動を出来たらと思います。

SOPHIAの心のこもったミニライブ

第2部として、SOPHIA松岡さんと都さんお二人でのミニライブが開催されました。最初の曲は、お二人が「ファンの皆さんへの応援歌と思っている」という『エンドロール』。

 

そして、ニューヨークから駆け付けてくれたチェリスト 松本エルさんと3人での『Kissing blue memories』。オリジナル曲とは違ったアレンジで。チェロが加わり、優しい空間となりました。最後に影絵師の山田 大祐さんが加わり4人での『Like Forever』。曲に合わせて、その場でOHP越しに映る影絵の動きがとても幻想的でした。